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2. オープンソースの定義
  
自由(freedom)という言葉に対する混乱こそが「オープンソース」という言葉が作り出された理由だった。新しいこのオープンソースという概念には、ソフトウェアを書いたことがある開発者には広く理解されている重要な概念が導入されている。プログラマーは、コンピュータに特定の仕事を指示するソースコードを書き、コンピュータはソースコードを実行可能なプログラムに翻訳するルーティーンを行う。コンピュータープログラマーがソフトウェアを理解し改変するためには、ソースコードへのアクセスが必要だ。ソフトウェアが研究され、改変され、改良されるためにはソースコードがオープン(すなわち、公開され誰もが見られる状態)でなければならない。
 
オープンソースコードはソフトウェアの自由に不可欠な条件であり、技術的な前提だ。ソフトウェアの自由は目的であり、それを達成する手段がオープンソースだ。
 
オープンソースという言葉はメディアや普段の会話に登場する。現在では、オープンソース・ライセンスは、混乱を招く「自由(freedom)」という言葉を全く用いずにソフトウェアの自由を推進することができるようになった。現在では、オープンソース・ソフトウェアという言葉は、フリーソフトウェアという意味をも含めて表現したいときに使用されるのが通常だ。
 
単に名称を変更したとしても依然としてそれまでの曖昧さは解決されない。オープンソースの意味を説明し、オープンソース・ライセンスのガイドラインを提供するための定義が必要だ。
 
1997年、Bruce Perens氏は、オープンソースという新しい用語を反映し、フリーソフトウェアという言葉との混同を避け、かつ、採用可能なライセンスに関するその他の課題を明確にしたDebian Free Software Guidelinesを提案した。このガイドラインは1月に及ぶ電子メールでのやり取りの末、「オープンソースの定義」として採用された(Perens氏はこの歴史を「Open Source: Voices from the Open Source Revolution (O'Reilly 1999年)」に執筆している。)。当初、ライセンスとして認められるための9項目の基準で構成されていた「オープンソースの定義」は、2002年に1項目を追加して全10項目で構成されている。
 
これら10の基準を充足すれば、Open Source Initiative(OSI)の理事会によって承認される。そのように承認されたライセンスの条件に従って頒布されるソースコード形式のソフトウェアは「OSI承認オープンソース・ソフトウェア(OSI Certified open source software)」と称され、ライセンスの承認がオープンソース・コミュニティでソフトウェアが広く採用されるための前提となっている。例えばSourceForgeなどの組織では、OSIで承認されたライセンスに従ってライセンスされるソフトウェアをウェブサイトに掲載することを認めている。
 
以下、「オープンソースの定義」の最新版を、OSIのウェブサイト(www.opensource.org) より掲載する。
 
1. 自由な再頒布
ライセンスは、複数の異なる入手先から入手したプログラムを含む1つの集合体であるソフトウェア頒布物のコンポーネントとして、当事者がソフトウェアを販売または無償で頒布することを制限してはならない。ライセンスは、上記販売についてロイヤルティまたはその他の料金を要求してはならない。
 
2. ソースコード
プログラムはソースコードを含んでいなければならず、また、コンパイルされた形式のものと同様にソースコード形式での頒布を許容しなければならない。ソースコードとともに頒布されない製品形式がある場合は、複製する合理的な費用を超えない範囲でソースコードを入手することができる広く知られた手段がなければならない。好ましいのは、インターネットを通じて無償でダウンロードする方法である。ソースコードは、プログラマーが改変するのに好ましい形式でなければならない。意図的にわかりにくくされたソースコードは許されない。また中間的な形式、例えばプリプロセッサーやトランスレータなどのアウトプットも認められない。
 
3. 派生的著作物
ライセンスは、ソフトウェアの改変および派生的著作物の作成を認めなければならず、改変および派生的著作物が、元となったソフトウェアのライセンス条件と同じ条件で再頒布されることを認めなければならない。
 
4. 著作者のソースコードの同一性保持
ライセンスは、構築中のプログラムの改変を行うためにソースコードとともにパッチファイルの頒布をライセンスが認める場合に限り、ソースコードが改変された形式で頒布されることを制限してもよい。ライセンスは、改変されたソースコードから構築されたソフトウェアの頒布を明確に許可しなければならない。ライセンスは、派生的著作物に元となったソフトウェアと異なる名称またはバージョンを付すことを要求してもよい。
 
5. 個人やグループに対する非差別
ライセンスは、いかなる個人やグループも差別してはならない。
 
6. 利用する分野(fields of endeavor)に対する非差別
ライセンスは、いかなる者に対しても、ある特定の分野でのプログラムの使用を制限してはならない。 例えば、プログラムのビジネスにおける使用または遺伝子研究のための使用を制限するなどしてはならない。
 
7. ライセンスの頒布
プログラムに与えられた権利は、追加的なライセンスを締結することを要求することなく、プログラムが再頒布されたすべての者に対して適用されなければならない。
 
8. 特定製品に限定したライセンスの禁止
プログラムに与えられた権利は、そのプログラムがある特定のソフトウェア頒布物の一部であるということに依存してはならない。プログラムがその頒布物から抽出されて、プログラムのライセンス条件の範囲で使用または頒布された場合、プログラムが再頒布されるすべての当事者は、元となったソフトウェア頒布物とともに許諾された権利と同じ権利を有することとなる。
 
9. 他のソフトウェアを制限するライセンスの禁止
ライセンスは、ライセンスされるソフトウェアとともに頒布される他のソフトウェアに制限を設けてはならない。例えば、ライセンスは同じ媒体において頒布される他の全てのプログラムがオープンソース・ソフトウェアであることを要求してはならない。
 
10. ライセンスは技術的に中立であること
ライセンスのいかなる条項も、特定の技術やインターフェース形式を基礎とするものであってはならない。
 
この「オープンソースの定義」自体もまた混乱を招いている。これは、Free Software Guidelineに含まれている一定の曖昧な概念を、等しく曖昧な概念である「差別的取り扱い」、「著作者の同一性保持」および「ソフトウェアの再頒布」に関する概念によって置き換えている。ライセンスの承認に関する公の議論では「オープンソースの定義」そのものが何を意味しているのかが議論になることがある。
 
弁護士は、「オープンソースの定義」が、「・・・してはならない」「・・・しなければならない」「・・・してもよい」などの文言を一貫しない形で使用していると指摘する。例えば、「認めなければならない」という表現は、次の1つの文で2か所に使用されているが、異なる内容を意味している。
 
ライセンスは、ソフトウェアの改変および派生的著作物を認めなければならず、改変および派生的著作物が、元となったソフトウェアのライセンス条件と同じ条件で再頒布されることを認めなければならない(「オープンソースの定義」第3条
 
本条の冒頭部分は、ライセンスが、ライセンシーに対して派生的著作物を作成することを認めなければならないことを意味すると解釈される。しかし、後半部分は、同ライセンスが派生的著作物の再頒布に使用されることを要請してもよい(義務化する必要はない)、また、ライセンスは同じライセンスのもとに派生的著作物がライセンスされることを禁止してはならないと解釈される。
 
「オープンソースの定義」第1条の2つの文章でも、「制限してはならない」と「要請してはならない」という表現が、オープンソースに初めて触れた人に混乱を来す使われ方をされている。最初に尋ねられる質問に最も多いものが、すべてのオープンソースが無償なのかだ。答えは、NOだ。ほとんどのオープンソース・ライセンスが、ソフトウェアの複製物を有償にするだろう。しかし、複製権に対してロイヤルティまたはライセンス料を支払う必要はない。「オープンソースの定義」第1条がこの点をもっと上手く記述してくれていれば良かったのだが。
 
「オープンソースの定義」では、いくつかの点で強制されることがある。例えば、第1条と第2条において、ライセンスはソフトウェアの複製と派生的著作物の作成を認めなければならない。そしていくつかの点では、許容していることがある。例えば、第4条では、ライセンスは著作者の同一性保持を保護するメカニズムを提供してもよいとしている。単に許容を行う内容は、何がオープンソースを構成するかという「オープンソースの定義」の一部に含まれるべきではなく、市場の判断に任せるべきだと主張する人々もいる。
 
差別という言葉は、「オープンソースの定義」の様々な箇所で使用されるが、同じく混乱を来す。全てのソフトウェア・ライセンスはその条件を承諾し尊重する者(すなわちライセンシー)を優遇し、その条件を承諾せず尊重せずにソフトウェアを使用する者(すなわち侵害者)を差別する。「差別」という言葉は「オープンソースの定義」が意図しなかった過剰な意味を有している。例えば、プロプライエタリ・ソフトウェアを有する企業はGPLのような一定の相互性ライセンスを承諾できないため、ライセンスはそれらのプロプライエタリ・ソフトウェアの会社を差別しているといわれてきた。一方で、そのような事情に関係なくライセンス条件を承諾することを断った単なるライセンシーでない者に対する差別に過ぎない、という人もいる。
 
オープンソース・コミュニティのほとんどの人々は、非差別が素晴らしい目的だと抽象論では同意する一方で、同コミュニティは何が差別かについては意見が一致しない。世界中の多くの法域において、人種、年齢、宗教、国籍、性別、性的指向、健康状態そしてその他の個人的な特徴に基づく差別は常に違法とされる。この列挙されたもののなかに「オープンソースの定義」第6条の利用分野による差別が当てはまるか?いくつかの国の法律では、一定のソフトウェアが人々やグループによって使用されることを禁止しているかもしれない(例えば、米国の輸出管理に関する法律は意図的に差別的取り扱いをする)。それらの差別を強制する法律は、単なるソフトウェア・ライセンスの反差別的な条項を覆すのだろうか?そのようなソフトウェアはオープンソースと言えるだろうか?
 
いくつかの「オープンソースの定義」の条項は特に重要性を持たないことが分かってきた。「オープンソースの定義」第7条は、参照部分が追加的なライセンスに関するものであるため、実務的な問題として、ライセンス承認のために当該ライセンスを検討する際に本条が果たす役割が明確ではない。「オープンソースの定義」第8条については、Open Source Initiativeのウェブサイトが本条は、その他一連のライセンスの罠を排除すると述べている。この問題は、現在のオープンソース・ライセンスに関してまだ生じていない。「オープンソースの定義」第9条はおそらく不必要だ。なぜなら、これが本当に問題となった場合、独占禁止の観点からおそらく違法とされるだろう内容からの保護について規定しているからだ。本条で使用される同じ媒体で頒布される他のプログラムという表現は、狭すぎて、頒布者が実際にソフトウェアの頒布で行うことを適切に表現できていない。
 
多くの「オープンソースの定義」の条項はソフトウェアの頒布を扱っている。「オープンソースの定義」が直接ソフトウェアの使用について規定していないことを批判する人もいるが、この批判は完全に根拠があるものというわけではない。複製権、派生的著作物の作成権、頒布権はオープンソース・ソフトウェアの使用に不可欠だからだ。しかし、「オープンソースの定義」のいかなる条項もこの点を直接明確にしていない。
 
>>「3. オープンソース原則」
 
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2008.03.11 Tue l 第1章 自由とオープンソース→2. オープンソースの定義 l COM(0) TB(0) l top ▲

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