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2. 右脳と左脳
 
芸術は、われわれの右脳(感情をコントロールするといわれている大脳皮質の右半球)の産物といわれる。科学的創造は、左脳(論理を使用する左半球)の産物といわれている。真偽はさておき、人間の知性の2つの産物である芸術と科学に対するこの2分した描写は、ソフトウェアを作成する際に我々が行うことを理解するのにとても役立つ。
 
知的財産権法はこの2種類の知的創造を区別する。右脳の創造は「表現」という性質を持ち、絵画、音楽、小説そして詩の世界でよく見受けられる。左脳の創造は「アイディア」の性質を持ち、科学や技術革新に見受けられる。表現は著作権法の保護対象であり、アイディアは特許権法の保護対象だ。(第3の知的財産である商標については後述する。)
 
コンピュータ・ソフトウェアにおいて表現とアイディアの境界はかなり曖昧だ。2半球あるとはいえ脳は1つであり、私たちの創造豊かな知性の産物であるソフトウェア製品は、芸術であると同時に科学であり、表現であると同時にアイディアだからだ。
 
筆者が覚えているのは、例えば、コンピュータ・サイエンス分野の大学院生がDonald Knuth氏の「コンピュータ・プログラミングの技術(The Art of Computer Programming)」を読んでいる際に、彼は、Knuth氏のプログラム(部分的には筆者のものも含まれていたが)が、時に機能に関係しない部分において、本当に芸術的な作品であると感じていた、という例だ。例えば、Knuth氏が表現した特定のアルゴリズムは、若いコンピュータ・プログラマーである彼にとっては美の対象となった。よく機能するきっちりしたコンピュータ・プログラムを書く者だけが、ソフトウェアにどれほどの表現が含まれるかということや、単にコードが優美で正確であるからゆえに、その創造する過程が如何に感情的に達成感があるかということを、感じることができる。
 
それからすぐ、筆者はStanford大学のためにソフトウェアを書き始めた。筆者が実務界に提案し、教授し、他の大学活動に没頭してからは、コードの書かれ方の美しさよりも、プログラムの機能のほうが顧客にとってははるかに重要だということを実感した。さらに、筆者がハイテク産業に移り、商業製品がどのようにデザイン、製造、頒布、そしてサポートされるかを気にかけ始めた頃には、コンピュータ・プログラミングの芸術はどんどん重要ではなくなっていった。必要不可欠なのは、ソフトウェアが実行する機能であり、そこに実現されたアイディアであった。
 
実のところ、これら両者の考え方は共に正しい。ソフトウェアを作成すると、著作権で保護されうる表現と、特許化可能なアイディアの双方が創造される。よく機能するソフトウェアというのは概してよく書かれたソフトウェアであり、優美なソースコードは概して素晴らしいことをやってのける優美なソフトウェアとなるのだ。
 
かつては、法はソフトウェアを知的財産として扱うことを認めず、著作権法も特許法もソフトウェアには適用されなかった。かなり議論がなされた後、1980年に米国連邦議会は、ソフトウェアが著作権法の対象となりうることを決定した。1981年には、米国連邦最高裁判所がソフトウェアによって実現可能となった発明は、特許の対象にもなりうると判示した。連邦裁判所と米国特許庁は以降、ソフトウェアに対する特許の範囲を広げ、ソフトウェアを収納する、コンピュータで読み取り可能なメディアを含めるに至った。これは、ソフトウェアを特許とすることができることを意味する。これらの決定に文句を言う人もいるが、少なくとも米国においてはこれが法律だ。
 
他の国々では、類似した法と政策を有している。他の国々にいる読者は、自国の弁護士に、違いの詳細について法的アドバイスを求めることをお勧めする。というのは、ある種のソフトウェアについて特許を付与することを認めない国があるからだ。
 
著作権の保護対象となるソフトウェアを作成するには、低い程度の表現の創作性があれば十分だが、ソフトウェアにつき特許権を得るための基準はもっと高い。このような違いがあるとはいえ、著作権法と特許法は、その保護対象とするのにピカソのような芸術性基準やアインシュタインの発明レベルのアイディアを求めるものではない。表現の質やアイディアの深さは芸術批判または市場が評価を行う領域のものだ。著作権を取得するためには、単に原著作物の著作者でさえあればよく、特許権を取得するためには、単に新規で、利用可能であり、自明な技術でないものの最初の発明者でさえあればよい。
 
>>「3. 著作権と特許権を得る」へ
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2008.03.24 Mon l 第2章 知的財産→2. 右脳と左脳 l COM(0) TB(0) l top ▲

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