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4. コントリビュータ契約
 
コントリビュータはなぜ貢献するのか?この問いに対しては、コントリビュータの数だけ回答がある。ただ確かなことは、人々は同じ目的を共有するオープンソース・プロジェクトに貢献する。プロジェクトがゆるい同盟で構成されようが、公式な非営利法人、または企業がスポンサーとなっている活動であろうが、プロジェクトのメンバー間で仲間意識がある。技術的または人的な理由で仲間意識が失われたとき、プロジェクトは分岐し、複数の競合するプロジェクトへと変わってしまうこともある。オープンソース・コントリビュータは、どちらかの分岐したプロジェクトに参加することも、またはプロジェクトを去ることも自由だ。ただ、このような分岐は、オープンソース・プロジェクトではきわめてまれだ。
 
コントリビュータはプロジェクトを去ることができるが、既に貢献した部分はプロジェクトにとどまる。ソフトウェアが一度オープンソース・ライセンスに従ってプロジェクトにて利用可能となると、たとえコントリビュータとしての参加が終了した後であっても、プロジェクトはそのソフトウェアを自由に複製し、そこから派生的著作物を作成し、頒布し続けることができる。なぜなら、オープンソース・ライセンスは、ライセンスが明示していなくとも、永久だからだ。プロジェクトが貢献部分を受け取った際の条件を尊重し続ける限り、ライセンスは効果を継続する。ただし、1つ重要な注意点がある。永久ライセンスでも、取り消しうる。第4章に述べる裸のライセンスと契約の議論を参照してほしい。
 
大多数のプロジェクトは、コントリビュータから適切なオープンソース・ライセンスに従って貢献部分を受領しているので、プロジェクトのソフトウェアにその貢献部分を導入するために必要な権限を保有しているといえる。それがオープンソース原則の意味するところだ。
 
それぞれのコントリビュータのライセンスが、頒布にあたって使用するプロジェクトのオープンソース・ライセンスの条件と両立する限り、筆者が前章で説明したようなコントリビュータとディストリビュータの食物連鎖が展開されることになる。このことは、貢献部分に使用されたライセンスと、プロジェクトの派生的著作物に使用されたライセンスが同一のものである場合は、常に該当する。例えば、プロジェクトが貢献部分をBSDライセンスで受け取っている場合、その派生的著作物はBSDライセンスに従ってライセンスすることができる。貢献部分をGPLで受領している場合、派生的著作物はGPLに従ってライセンスできる。
 
互換性があるということは、単に同じライセンスの場合だけを指しているわけではない。貢献部分に使用されたコントリビュータ・ライセンスは、プロジェクトのライセンス条件と矛盾する可能性のあるライセンス条件を含んでいなければ、当該貢献部分の集合著作物または派生的著作物に使用されるプロジェクト・ライセンスと両立するといえる。2種類のライセンスの条件が矛盾しているかどうかを決定するためには、条項ごとの比較が必要だ。
 
このような比較では、比較対象のライセンスを相互に両方向から分析しなければならない。例えば、後述するが、BSDライセンスのようなコントリビュータ・ライセンスは、GPLを含む本書で説明する他のプロジェクト・ライセンスと両立するが、他のプロジェクトのライセンスがBSDライセンスと両立する訳ではない。例えば、GPLでライセンスされた貢献部分は、BSDライセンスを使用するプロジェクトでは使用できない。両立できない状態は双方向で起こりうる。GPLでライセンスされた貢献部分は、Apacheプロジェクトでは使用できず、Apacheでライセンスされた貢献部分はGPLプロジェクトでは使用できない。ライセンスの両立の可能性(互換性)については第10章でさらに述べる。
 
もし、プロジェクトが貢献部分をそのライセンス条件と両立可能でない方法で使用したいと希望する場合はどうするべきか?答えは明確である。プロジェクトは貢献部分を受領したときのライセンス条件に拘束される。一般的に、貢献部分のライセンスがプロジェクトのオープンソース・ライセンスと両立しないとき、そのプロジェクトは当該貢献部分を使用できない。
 
オープンソース・プロジェクトは通常は貢献部分の著作権者ではなく、貢献部分のライセンス条件を変更する権利を有さない。時々、ライセンス条件を選択する自由を有することを明確にしようとして、オープンソース・プロジェクトが著作権を保有しようとしたり、コントリビュータとの書面の契約によりライセンス条件をプロジェクトが決定できると明記することがある。このようなコントリビュータ契約は、著作権と特許権の譲渡によって実際に知的財産権の帰属を移転したり、本書のオープンソース・ライセンスよりも包括的な幅広いライセンスを許諾したりする。ライセンスの互換性は、プロジェクトが著作権者や特許権者となる場合は問題とならない。なぜなら、コントリビュータが権利を有さなくなった貢献部分については、プロジェクトがライセンスの決定をしても、コントリビュータは何ら拒否する権利がないからだ。
 
もし、オープンソース・プロジェクトが著作権・特許権を有しない貢献部分について、実際に再ライセンスをしなければならなくなったらどうするのか?互換性を満たす再ライセンスについては、追加のライセンスは必要ではない。しかし、コントリビュータから受けたライセンス条件と両立しないときは、再ライセンスについてコントリビュータの合意を得る必要がある。
 
貢献部分の将来のライセンスを決定することについて、プロジェクトまたはコントリビュータのどちらが権利を持つべきだろうか?この問いに対しては、オープンソース・コミュニティには唯一の答えはない。ソフトウェア以外の分野では、この争点は長い間訴訟の原点となってきた。例えば、ミュージシャンや芸術家は、出版社に対して作品の著作権を自発的に譲渡した後に、他の市場での価値のある権利を再度獲得しようと戦ってきた。また、近年では、新聞記事へのコントリビュータは、自らの記事を新しいオンラインという場所で再出版する権利をめぐって戦っている。これらの訴訟では、たびたびコントリビュータ契約の解釈が問題となる。もちろん、彼らが著作権や特許権を譲渡していたら、もはや何の権利も彼らには留保されず、前述のミュージシャン、芸術家および新聞記者は、その出版社がどのような決定をしたかにかかわらず、何の権利も有しない。
 
筆者は、個人的に、自分の作品について出版社に対して管理の権限を付与しすぎたくはない。自分の言葉(表現)を管理する権限は自分で有していたいからだ。筆者は、適切なオープンソース・ライセンスに従ってすべての人に自分の表現の使用を許諾するだろうが、それらを私的な財産として保有したり、筆者が承認しない方法でライセンスしたりすることを選択するだろう誰かに権利を渡したくはしない。これは、筆者がどんなに自分の出版社が好きであっても変わらないし、出版社を将来の再ライセンスの問題の悩みから開放させたいとしても、同じである。
 
上記は、明らかに、著作権に対する考え方についての筆者の個人的意見だ。プロジェクトまたは出版社への知的財産権を提供する各コントリビュータは、どれだけの権利や管理の権限を自分から移転するかを決定しなければならない。ここから先は、筆者は助言することはせず、単に、各プロジェクトが採用する様々なオープンソース・ライセンスを説明することとする。もし、あなたがプロジェクトに貢献部分を提供することを決め、そのプロジェクトからオープンソース・ライセンスとは異なるコントリビュータ契約を示された場合は、それを注意深く読み、どのような権利を付与してしまうかが明確でなければ、弁護士に相談すべきだ。
 
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2008.03.27 Thu l 第3章 ソフトウェアの頒布→4. コントリビュータ契約 l COM(0) TB(0) l top ▲
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