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13. 権利の譲渡
 
本書はライセンスについて記載しているが、ライセンスする権限をより確実にするために、オープンソース・プロジェクトがライセンスに代替する手段を用いることがある。プロジェクトは、著作者に対して、オープンソース・ソフトウェアに対する著作者の全権利(場合によってはそのソフトウェアに含まれる特許権についても)を、直接にプロジェクトへ譲渡するように薦めることがある。プロジェクトそのものがライセンス権限を有することを明確にするためには、譲渡は有効な方法だ。
 
知的財産の権利者は、私的財産または不動産と同様に、権利の販売や贈与などの処分を行うことができる。権利が譲渡されると、本章で説明した独占権は新権利者に移る。
 
このような著作権譲渡の手段は一般的には有益ではないし必要でもない。なぜなら、オープンソース・ライセンスでも、譲渡の場合と同様に、効果的に全ての権利を移転できるからだ。譲渡のほうが望ましい場合というのは限定的だ。
 
オープンソースの訴訟に関する第12章で後に詳述するが、第1に、著作権者、著作権に基づく独占的権利を持つ者、特許権者または特許権の(たとえば、明確な領域や使用分野についての)独占的ライセンシーだけが、当該権利あるいはライセンスを実現するために訴訟を起こす権利を有する(米国著作権法第501条bおよび米国特許法第281条)。第2に、知的財産は権利者の死後、相続可能なため、権利者は、価値ある著作権や特許権を、価値のわからないまたはどのように管理すべきかわからないかもしれない子孫に課すよりも、誰かに譲渡することを好むかもしれない。
 
米国著作権法は著作権の譲渡は書面で行わなければならないとする(米国著作権法第204条a)。特許権の譲渡についても同様の条項が適用される(米国特許法第261条)。法的書類の作成に当たっては、譲渡は通常、特許法や著作権法による書面申請形式を充足する必要がある。
 
原著作者が著作権の譲渡する際のリスクのひとつは、異なる条件で異なるライセンシーに対してライセンスする権利を失うということだ(デュアル・ライセンス戦略については第11章で説明する。)。著作権の譲渡がなされると、新しい権利者がライセンス戦略を決定する独占的な権利を有し、いかなる権利も旧権利者には残されない(但し、本書ではこれ以上述べないが、旧権利者がライセンス・バックを受ければこの限りではない。)。((訳者注)米国著作権法では原則として著作者人格権がないとされているのでこのような説明となる。他方、日本を含む大陸法系の法では著作者人格権の概念があり、著作者が著作権を譲渡したとしても、著作者人格権が残ることになるので注意が必要である。)
 
その他の譲渡のリスクとしては、多くのオープンソース・プロジェクトが非公式な組織で、しばしば法的な会社法人の存在無しに活動しているということがある。そのため、著作権の譲渡が非公式の団体に対してなされる場合、誰がライセンスをする決定を責任を持って果たす権限を持っているかかということに疑問が残る。実際に、プロジェクトがライセンスについて原権利者の好まない決定をした場合、原権利者は反対する法的根拠がなく、署名した書面による譲渡の明示の条項を尊重する義務だけが残る。
 
上記のような特別な状況を除き、著作権あるいは特許権をオープンソース・プロジェクトに対して譲渡する利点はほとんどない。複製物を作成し、派生的著作物を作成し、ソフトウェアを頒布することを含め、オープンソース・プロジェクトに必要なものは譲渡より簡単なライセンスによって提供される。コントリビュータおよびその貢献部分を受け取るオープンソース・プロジェクトは、多くの場合、譲渡の代わりにオープンソース・ライセンスにて自らの目的を達成する。
 
譲渡とほぼ同様の内容がライセンスで実現できるため、譲渡のために法的に必要となる特別な文言を説明するのはやめておく。また、原著作者に必要となるライセンス・バックの条項を含む、譲渡のドラフトの説明についても省略する。必要な場合は弁護士に相談してほしい。
 
>>「14. 特許権と著作権の存続期間」へ
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2008.03.26 Wed l 第2章 知的財産→13. 権利の譲渡 l COM(0) TB(0) l top ▲
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